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キンケードはG線上でソプラノ・サックスを吹く。 大丈夫か?     (★注意・・・記事内容を誹謗中傷する者は立入禁止!)
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新品のサックスを使い込んでいくと俗に「音が抜ける」という状態になるらしいですね。
私は「音が抜ける」という表現がなんとなく嫌いなので、「管がなじむ」と言い換えてよろしいでしょうか。

新品で購入してもうすぐ丸2年、ラッカーも所々剥げてきて、楽器調整も8回を数えました。
実は最近になってようやく「管が馴染んできた」ような気がするのです。
まず持った感じが当初のズシリとくる重さから、サクッとした3点支持でキープできるようになりましたし。
マッピとリードの組合わせ(セルマーC90-170+グラコン3)にも違和感がないし。
バタバタしてたフィンガリングも、少し落ち着いてきたような・・・。

そして何より感じるのが「以前より管体が響いている」ということでしょうか。
これを現象面で考えてみましょう。
まず音孔の開閉位置により空気音柱の振動数が決まります。
オクターブキーやオーバートーンで倍音を選択したりできますが、基本的な振動数はほぼ決まり。
このとき裸眼では確認できませんが、管体は面振動しています。
よく黒ビニール膜に塩をばらまいて一定音を発すると、塩が幾何学模様を描きながら線状にまとまりますよね。
あのような状態が真鍮面にも起きているわけです(と思うけど (^^ゞ)。

塩が線状に集まっている所は「振動の節」と呼ばれます。
ここは振幅が0に近いので、塩が飛ばされずに集まってくるわけです。
振幅はゼロに近いのですが、繰り返し折り曲げられているので実は応力は最大なのです。
もしサーモグラフィーで管体の表面温度を色で観察できるなら、その部分は分子間摩擦で温度が上昇しているはずです。
メッキしているなら同じ振幅で振れさすためには、余計力がいることは容易に理解できます。

この「振動の節」は振動数により場所が変ってきますけど、Gの音なら毎回同じ位置が「振動の節」になるわけです。
新品の内はどこも同じですが、使い込んでいく内に節の金属部分がこなれてきて振動しやすくなるのでしょう。
次第に記憶が進んでズボンの折り目のような線が出てくると考えてもいいかもしれません。
メッキした管体ではさらに顕著なはずです。
また金属は圧延加工すると「加工硬化」という金属結晶・組織のムラを生じて硬くなります(ちなみに純金にはこの加工硬化がありません、薄い金箔にできるのはそのためです)。
このムラが自由振動を阻害するので、新品の鳴りにくさの原因にもなっていました。
ヤ○ハのサックスなどでは、このムラを「焼鈍し」処理をして予め除去した機種を用意しているのはご存知だと思います。
狂ったピッチでいつも鳴らしていると、少しずれた所に折り目が付くことになり容易に変更できなくなるかも知れません。
これが楽器のクセと呼ばれる一因になるとしたら、怖いことだと思いませんか?

逆に発信器を使って人工的に正確なピッチを、吹き口から流し込んだらどうでしょうか。
そうやって人工的に昼夜振動させておけば、短期間で「管がなじんだ」状態になるのではないでしょうか。
もし問題がなければ、銀メッキやブラックニッケルメッキといった吹奏抵抗の強い管体に適用してみたいものですがいかがでしょうか。
私の想像ですが、この発信器による馴らしは「キーを押さえる」といった行為が伴わないので、忠実な再現にならないと思います。
キーを押さえて音孔を塞いだ状態は、インピーダンスが少し違ってくるので面振動の様子が異なるはずです。
あくまでも想像なので、ことの真偽は不明ですけどね。
発信器での馴らしが有効だとわかったとしても、多くの音楽教育者はそれを邪道として退けることでしょう。
でも個人的には試してみたいんですよ、これ、なぜなら私が異端者だから(笑)。

やはり地道に吹いて馴染ますのが王道でしょうかね。
扱いが丁寧でピッチの安定した音大生のサックスを、中古で買うのが最も手っ取り早い気もしますが・・・ダメ?(笑)。
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» えんじにあ
おはようございます♪

今回は専門的なお話でしたね。キンケードさんがエンジニアとしてすごい人なんだなぁとあらためて尊敬させていただいた次第です(^^*
町工場に5年ほどした私には、NAK80やSTAVAX、SKD61など鋼材の名前は知っていても、だから何?って感じです(^^;

>でも個人的には試してみたいんですよ、これ、なぜなら私が異端者だから(笑)。

私も邪道街道まっしぐらですが、正しいピッチで管がなじんだ楽器より、変な音の折り目がつこうとも自分の楽器は自分で吹く!といったところでしょうか。
でも、それは楽器の価値を確実に暴落させている行為ですが(^^;
praetor_gaius URL 2007/08/14(Tue)08:29:51 編集
» 今日も暑いです。
たしかに楽器のなじみかたってそんな感じかなと思いました。
こっちのソプラノは先週一週間吹いてみて、やっぱり調整がおかしい気がしたので、(来週、調整に持っていくまで、)しばらく吹かないことにしました。
なんかクーラーがあっても全体的に気温が高いせいか、どの楽器もピッチがどんどん激高になっていますー。(笑)
キャットてぃる URL 2007/08/14(Tue)11:58:52 編集
» ヒマ人キンケ
>プラさん
SKD61・・・金型材でしたっけ(笑)。
皆さんも表現こそ違うものの、「音ヌケ」についてそういったイメージをお持ちのはず。
ただブログにまとめようとすると、ちょいと面倒な話題ですもんね。
そこでお盆でヒマなキンケが代表して話題にしてみた・・・その程度ですよ(笑)。

>キャットてぃるさん
ソプラノってアルトやテナーよりマメな調整が必要な気がしませんか?
それからカーブドの方が吹奏抵抗が強そうな気がしますけど、吹いてみるとそうでもないような・・・。
そのようなどうでもいいところが気になっております(笑)。
キンケード 2007/08/14(Tue)12:20:48 編集
» 無題
奏者の癖って、やっぱり楽器に与える影響も大きいかも。
自分のヘタレ具合をそっくり受け継いでるうちの楽器。
私色に染まってきてるようです・・(;´∀`)・・・うわぁ・・・

ピッチは、キンケードさんと同じく、間違ったピッチで吹いてるとそれが楽器に染み付いちゃうんじゃないかなー?と思います。
(根拠はないけど、なんとなくw)

TPを吹くロボットもいるんだから(しかも、なかなかお上手!)
サックスを吹くロボットが出来て
「ロボットが正しいピッチで半年吹いた楽器。本番での使用も即OK!音抜け抜群」
↑こんな商品も出たりして・・・

そーいえば、オーバートーンをするといいって聞いたコトあるんだけどどうなんでしょうね~?
きんかん 2007/08/14(Tue)16:38:10 編集
» 倍音
>オーバートーンをするといいって聞いたコトあるんだけどどうなんでしょうね

またまたきんかんさん、ご存知のクセに聞き上手ですね(笑)。
豊かなサックスの音には複数次の倍音が含まれているそうです。
オーバートーンで高次倍音を鳴らしておくと、ズボンの筋が増えて、豊かな音が出やすくなるのでしょうね。
キンケード 2007/08/14(Tue)17:14:44 編集
» 面振動
サックスの響きって面振動だったんですね。金属粒子が振動になじんで「振動の節」がつくことが、管が馴染むということだったのかぁ。
なんか凄く納得しました。

ブラスと銀だと、どちらが柔らかいのですか?
シルバープレートはブラスよりも硬い?
金属って振動しすぎて疲労することはないのですか?

ソプラノはまだ馴染むところまでいっていませんが、うちのブラックニッケルのテナーは中音Dに変な癖がついてしまったかもしれず、修正を試みるためDだけ集中的なロングトーンを試みています。
振動の節って変えられるものでしょうか?

こうやって科学の目でサックスを見るのって面白いですね。>キンケード博士
たぴ URL 2007/08/15(Wed)05:58:07 編集
» テケトーな分析
思いつきで書いてますので、間違いもあるかと (^_^;
純銀(100%)はブラスより柔らかいですね、ラッカーより硬くブラックニッケルメッキより柔らかいでしょう。
銀メッキには純銀を使ってるでしょうけど、サックス素材(シルバーソニック)で使う銀は銅が混じった合金だそうですよ。

金属疲労・・・サックスでこれを考えると、もう少し資料を漁らないとダメですね・・・夏休みの宿題ってことで(笑)。
キンケード 2007/08/15(Wed)12:42:18 編集
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ソプラノ・サックス 2005年2月~
ヤナギサワ S-902 (村雨丸)
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